この記事の目次
カードローンなど、借入と言えば多くの人は無担保を想像するでしょう。
しかし、歴史的に見て借入とは質屋などの有担保がメインでした。
今回、紹介する「不動産担保ローン」はこの有担保ローンのひとつです。
不動産を所持している方は、この優れたローンについて学んでおきましょう!
貸し手はとても安心!?不動産担保ローンとは?
不動産担保ローンとはその名の通り不動産を担保にして融資を受けるローンです。
このローンの特徴は「低めの金利」・「自由な用途」・「借入期間の長さ」・「借入額の多さ」にあります。
それぞれの詳細を見ていきましょう。
金利は5〜8%あたりのものが多く、一般的なカードローンの14.0〜18.0%と比べかなり低いです。
用途は基本的に自由ですが、一部事業性資金を禁止しているところがあるのでご注意ください。
返済期間は数十年までのものまであり、他のローンよりもかなり長い期間が設定されています。
余裕を持った返済ができるというのは借り手にとって大きなメリットでしょう。
また、4つ目の特徴である借入限度額の多さはさらに他のローンと一線を画しており、例えば日宝の「不動産活用ローン」というローン商品は最大50,000万円という限度額を用意しています。
もちろん都心部の一等地などでないとこの額は適用されないでしょうが、それでも見慣れないこの金額には驚きです。
これは担保の中でも頭一つ抜けて価値の高い不動産だからこそできる貸付の仕方だと言えるでしょう。
以下、不動産担保ローンとカードローンとの比較をしてみました。
ここまで見てきた通り、無担保よりも優れた有担保の特徴を確認できます。
|
金利(年) |
用途 |
期間 |
借入額 |
楽天銀行「不動産担保ローン」 |
3.53〜9.43% |
原則自由 (事業資金除く) |
1〜25年 |
100〜3,000万円 |
日宝「不動産活用ローン」 |
4.0〜9.9% |
自由 |
1ヶ月〜30年 |
50〜50,000万円 |
アコム「カードローン」 |
3.00〜18.00% |
自由 |
〜3年 |
1〜800万円 |
(2016年11月15日現在)
建物と土地では話が変わる!?不動産の評価額とは?
先ほどの借入限度額は、担保に差し出す不動産の価値の大きさによって決まり、一等地であるほどその額は上がります。
この不動産の価値を「評価額」と呼び、土地と建物どちらについてもその評価がなされます。
建物は築年数と比例して評価額が大きく落ちていくのに対し、土地は立地条件などによってはむしろ上がったり、価値を維持することも珍しくありません。
少なくとも建物のようにゼロやマイナスになってしまうことはほとんどないでしょう。
「土地は王様」といわれるのも納得です。
このためローンの提供側は数年経っただけでその価値を大きく落とす建物よりも、土地を高く評価するのです。
また、実際の借入限度額は評価額そのままではなく7〜8割掛けに落とされるのが一般的です。
これは時間経過による地価の下落のリスクを考慮したものと言えるでしょう。
そうはいっても評価額の7〜8割も貸してくれるということは、土地の資産価値や換金性の高さをほとんどの人が信頼しているからに他なりません。
分譲マンションでは借入できない!?住宅ローンとの併用と抵当権の関係とは?
先ほども話したように建物は担保としての価値があまり高くありません。
土地と比べ、貸し手にとってリスキーなことが多いからです。
では土地の所有権を持たない分譲マンションを購入した人は、不動産担保ローンを受けられないのでしょうか。
一般的に分譲マンションでは住宅ローンを利用している人が多く、不動産担保ローンの可否は金融機関の判断次第としか言えません。
これは「抵当権」が主な原因です。
抵当権とは不動産担保ローンの場合、返済が滞ったときに貸付側が担保の不動産(土地・建物)を他の人よりも先立って手に入れる(債権の弁済を受ける)権利のことを言います。
この権利を持っていると、他の債権者を気にせずに最優先で返済してもらえることになります(抵当権の対象に限る)。
先ほどの住宅ローン返済中の分譲マンションでは、この抵当権が住宅ローンの債権者に設定されていることがほとんどです。
要するに、不動産担保ローンを契約したくても抵当権をすでに他の金融機関に握られているためできないという状況が生まれるのです。
不動産担保ローンの中には、抵当権が第2位でも良い(他の金融機関の次でも良い)というところもありますが、そのようなローンは限度額が少ないなど良いところが薄くなってしまっている場合がほとんどです。
このような理由から、分譲マンションでの不動産担保ローンの利用は不利な条件になりやすいことが多いのです。
このローンは所有している土地を担保に入れたときにこそ力を発揮するものだと言って良いでしょう。
不動産担保ローンを利用する上での3つの注意点とは?
ここまで見てきたこと以外に、不動産担保ローンを利用する上での注意点がさらに3つあります。
1つ目が必要書類の準備です。
不動産担保ローンは他のローンよりも用意するものが多く大変です。
不動産登記簿謄本などは本人確認書類と違いすぐには用意できないため、事前に準備しておきましょう。
2つ目は担保割れについてです。
仮に担保の不動産価値が急落したら、借入額によっては担保割れという状態に陥るのです。
例えば、あなたが評価額1,500万円の不動産を担保に1,000万円借りている状態だとします。
このとき不運にも不動産価値が800万円まで落ちたとすれば、200万円のマイナス差額が生まれてしまいます。
この差額は債務として返すか、追加担保の用意をしなければいけません。
そのため、借り手としては限度額ギリギリまでは借りないというリスクヘッジが大切でしょう。
3つ目は諸々の手続き費用が高いことです。
不動産担保ローンの契約には事務手数料・不動産鑑定費用・印紙代・抵当権の登記費用などの大きな出費が伴うため、ある程度の額を借りないと結果的に他のローンの方が安かったという事態が起こります。
こうならないため、借入の前にはシミュレーターなどで一番得なローンは何かということを算出しておきましょう。
では、借り入れには積極的に不動産担保ローンを利用すべきなのか?
ここまで不動産担保ローンについて紹介してきました。
無担保のローンと比べ、金利が低く大きな額の借入を可能にします。
そのため、ローンの一元化や事業への投資に向いているという性質もあります。
また、高くはありませんが利子は必ずかかることや返済ができなかったら不動産を失うリスクがあるということについては肝に命じておかなければいけません。
だたし、無担保で高金利のローンを利用することと比較すると、やはり不動産を持っている方は借り入れを考えた場合の第一選択とすべきことは間違いないでしょう。
もし無担保ローンを利用して返済不能となってしまった場合には、金融機関が裁判を起こすことになれば、最悪の場合にはどちらにしてもその不動産を差し押さえられて失うことになるからです。
現在の借入状況から、借り換えによって最大いくらお得になるかを計算してみましょう。
※計算結果はあくまで目安です。計算は現在の借入残高で各商品の最低金利を適用した場合の年間の利息額から算出しています。