この記事の目次
多くの方は「契約者貸付制度」というものをご存知ないでしょう。
それほどマイナーなこの借入は、なんとブラックでもOKという驚愕の方法です。
ただ、これはある条件のために利用可能な方は少ないかもしれません。
今回はこの「契約者貸付制度」にスポットを当て、誰がどんな借入をできるかについて解説します!
保険は2タイプに分かれる!契約者貸付制度があるのはどっち?
本題に入る前に、保険について少しだけ概要をご説明します。
保険は大きく分けると「掛け捨て」と「積み立て」の2タイプに分かれ、契約者貸付制度があるのは後者のみです。
「掛け捨て」とは文字通り、支払った保険料が戻ってこないタイプです。
この言い方はよくよく考えるとおかしな表現で、なぜか「もったいない」というニュアンスが含まれています。払ったお金が戻ってくるなんてそうそうありません。
たとえば、セコムなどのホームセキュリティーの月額費用は泥棒が入らなかったからといって「掛け捨て」とは言いません。
一方、契約者貸付制度がある「積み立て」とは、先ほどの「掛け捨て」の保険料に「積み立て」分を上乗せしたタイプの保険です。
当然「掛け捨て」タイプよりも高くつくことになります。
貯蓄型保険や積み立て型保険と呼ばれているものはこのタイプです。
たとえば「終身保険」「学資保険」「個人年金保険」はこの「積み立て」タイプであることがほとんどです。
そして今回の主役である契約者貸付制度とは、この「積み立て」分を一時的に貸し(返し)てくれるという一風変わったお金の借り方です。
そのため、ブラックでも借入ができるのです。
保険を途中解約したらどうなる?解約返戻金と契約者貸付制度の深い関係
もし積み立て型保険を途中で解約した場合、それまでの積み立て分は無駄になるのでしょうか?
ほとんどの保険会社ではこの途中解約に対して解約返戻金という措置を取っています。
解約時までに貯まっている分がいくらか返金されるというものです。
ちなみに、解約返戻金は契約期間が長いまたは満期に近いほど多くなる傾向があり、ほとんどの保険会社はその額を比率(%)で決めています。
特に、契約期間が浅いうちは70%などの目減りした額しか返ってこないことがほとんどですが、一方長い場合は100%を超えてた額を受け取ることができるのです。
これがこの保険の売り文句でもあります。
ただし解約控除という諸々の経費はそこから棒引きされます。
そして、契約者貸付制度とはこの解約返戻金の代わりにお金を貸してくれるという少しややこしいサービスです。
「お金を貸すから、解約しないでください」といった保険会社側の工夫ともいえます。
例えば、解約返戻金が100万円なら保険会社ごとに決められたライン(90%など)まで借りられます。
当然、この借入は実質的に「保険の契約」が担保になっているので、返済しなかった場合は強制的に解約させられます。
一時的にどうしても現金が必要で解約返戻金にまで手を出そうとする人の多くは、この制度によって現金を用立ててもらえることとなります。
これが「契約者貸付制度」という借入の仕組みです。
そんなに低いの!?契約者貸付制度の金利について
では、ここからは契約者貸付制度の詳細について見ていきましょう。
残念ながら、貸付という名の通り借入には「金利」が発生します。
積み立て金という自分のお金にもかかわらず利子をとられるのは、少し理不尽な気もしますがこればかりは致し方ないことでしょう。
幸いこの金利は多くの借入の中でもかなりお得な部類に入ります。
例えば、明治安田生命は2013年4月2日以降の契約分であれば年2.15%が適用されます。
これは1年間100万円を借りっぱなしにしても利子が約2万円というお得さです。
カードローンの金利が年15.0〜18.0%ということを知っていると、考えられないような低さに驚きますよね。
ただし、この金利はほとんどの保険会社で契約日により変化するので、ご注意ください。
先ほどの明治安田生命では以下のように定められています。
ご契約日(一部の保険は除く) |
金利 |
2013年4月2日以降 |
年2.15% |
2004年1月2日〜2013年4月1日 |
年2.50% |
1994年4月1日以前 |
年5.75% |
(2016年11月14日時点)
ご覧の通り、契約日が過去に遡るほど金利が高くなります。この傾向は他の保険会社でも同じです。
審査なし!?ブラックでも安心な申し込みについて
ここでは、契約者貸付制度の申し込みと返済の方法についてみていきましょう。
ちなみに、この借入はカードローンなどの無担保借入とは異なり、本人の保険契約という相応な担保があるため信用情報にキズがあるいわゆる「ブラックな方」でも大丈夫です。
申し込みのために書類の提出は必要ですが、いわゆる審査はありません。
例えば、先ほどの明治安田生命はインターネット・電話・店頭窓口での申し込みを行っています。
申し込み後、書類の確認を行い貸付が行われます。
返済はインターネット・提携ATM・店頭窓口・銀行振込で可能です。
多くの保険会社でも似たような方法が取られています。
ご利用時にそれぞれの公式サイトや店頭窓口でご確認ください。
また、この制度による借入はほとんど保険そのものを担保にしているも同義です。
たしかにそのおかげで審査はありませんが、返済の不履行があれば保険契約の解除に至る可能性があります。
この点は十分にご注意ください。
さて、ここまで契約者貸付制度という少し変わった借入方法を学んでいきました。
これを使えるのは限られた方のみになりますが、その金利は国(日本政策金融公庫)からの借入に匹敵します。
該当する方は他の借入とこの制度での金利を比べてからみるべきですね。
現在の借入状況から、借り換えによって最大いくらお得になるかを計算してみましょう。
※計算結果はあくまで目安です。計算は現在の借入残高で各商品の最低金利を適用した場合の年間の利息額から算出しています。