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「生活福資金貸付制度」というものをご存知でしょうか。
この制度は貸付をしてくれるものですが、同時に「地域福祉の充実」という特殊な使命を持っています。
ゆえに借り入れできる人は限定されますが、ときに金利が0になることがあります。
ここではあまり知られていない「生活福資金貸付制度」について深く学んでいきましょう!
謎だらけ!?生活福祉資金貸付制度とは何か?
「生活福資金貸付制度」とは都道府県社会福祉協議会が実施しているものです。
社会的弱者である低所得者・障害者・高齢者の生活を支え、自立を促すことを最大の目的としています。
また2015年4月から施行される生活困窮者自立支援制度に沿い、新たに貸付の範囲が見直されました。
例えば、内定の獲得に苦しむ方への就労支援などがそれにあたります。
実施している都道府県社会福祉は、認知症・知的障害・精神障害などの症状を持った方の手助けをする「日常生活自立支援事業」という活動を中心とした組織です。
また福祉の質を上げるため「福祉サービスの第三者評価事業」という取り組みにも力を入れています。
この制度は具体的に、無利子や低利子での貸付を通した経済的援助といった形で提供されます。
また貸付だけにとどまらずそれぞれの抱える悩みを聞き、可能であれば支援の手を差し伸べるということも使命のひとつです。
これと似た制度にニュースでよく耳にする「生活保護制度」があります。
これは生活福祉資金貸付制度と異なり貸付ではなく返済義務がない給付という形の支援です。
このような社会保障制度は「セーフティーネット」と呼ばれ、格差が大きい社会には必要不可欠なものとして世界各地で制度として確立されつつあります。
では続けてこの制度の貸付対象や額、その条件について詳しくみていきましょう。
誰が借りられる?生活福資金貸付制度の貸付対象とは?
この制度の貸付対象は低所得者世帯・障害者世帯・高齢者世帯の3つであり、その要件は以下のように決まっています。
・低所得者世帯
「この制度による貸付により自立ができると判断され、市町村民税非課税程度の資金を他から借りることが難しい世帯」のことです。この低所得のというラインは各都道府県社会福祉協議会で決められており、明確な基準は公表されていません。
借り入れを検討している方は、お住いの地域の都道府県社会福祉協議会に問い合わせるしか方法がありません。
・障害者世帯
「身体障害者・療育・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者が属する世帯」のことです。
・高齢者世帯
「生活を営む上で療養や介護を必要とする65歳以上の高齢者が属する世帯」のことです。
このいずれかを満たす人でないと、生活福資金貸付制度による借入はできません。
続けて、貸付資金にはどのようなものがあるかをみていきましょう。
どんな貸付があるの?総合支援資金の借入限度額や借入条件について
この制度の貸付資金の種類は、総合支援資金・福祉資金・教育支援資金・不動産担保型生活資金の4グループです。
さらにこのグループはさらに細かく資金の名称が分けれており、それぞれの借入限度額などが異なります。
ここからは、不動産担保型生活資金(居住用不動産を担保にして借入ができるもの)を除く3つを続けて紹介します。
まず、総合支援資金のグループは「生活費支援」「住宅入居費」「一時生活再建費」の3種類があります。
「生活費支援」とは生活再建までの間に必要な資金のことで、借入限度額は月15万円(単身世帯)・月20万円(2人以上世帯)で利用は原則3ヶ月のみです。
「住宅入居費」とは敷金などの賃貸契約で必要な資金のことで、借入限度額は40万円です。
「一時生活再建費」とは滞納している公共料金などの立替や就職のための技能習得、債務整理をするための費用のことです。借入限度額はこれまでの2つよりも多い60万円です。
これら3種類の金利は連帯保証人ありだと無利子、なしだと年1.5%という驚きの低さです。
では残りの2つを見ていきましょう。
福祉資金と教育支援資金の借入限度額や借入条件について
続けて、ふたつ目の福祉資金のグループは「福祉費」「緊急小口資金」の2種類があります。
ここでは後者のみを紹介します。
「緊急小口資金」とは文字通り急に生活困難になった場合、一時的な借入ができるものです。
借入限度額は10万円でなんと無利子で保証人が不要です。
最後に、教育支援資金のグループは「教育支援費」「就学支度費」の2種類です。
「教育支援費」とは主に低所得世帯において高等(専門)学校・大学に行くことが金銭的に難しい人のためのものです。
借入限度額は高校で月3.5万円、大学で月6.5万円でこれも無利子かつ保証人は原則不要となっています。
「就学支度費」とは高等(専門)学校・大学の入学に際して必要になるものです。
借入限度額は50万円で、これも無利子かつ保証人は原則不要となっています。
このように、生活福資金貸付制度の貸付金は多彩であり、それぞれ限度額や保証人の有無が異なります。
どれも共通しているのが金利の低さです。
中には無利子というものもあります。
これは営利を目的とした組織には到底真似できない生活福資金貸付制度の特色だといえるでしょう。
生活福資金貸付制度の審査と借り入れの手順について
ここまでみてきたように、生活福資金貸付制度による借り入れは「金利の低さ」や「保証人の有無」などによって、一般的なローンと一線を画しています。
それゆえ非常に厳しい審査をクリアせねばならず、さらに各都道府県社会が定める基準は全くといっていいほど公表されていません。
これはこの制度を利用する上でとても不安な点ですが、少しでも条件に該当する方はもし結果として徒労に終わっても検討する価値はありそうです。
また、借り入れの手順は貸付資金の種類によって異なります。
総合支援資金と緊急小口資金の場合は、利用している自立相談支援事業において相談の上、必要書類をもらい、それを提出する形となります。
先ほど記載した通り、この2つの資金は「自立相談支援事業」の利用を条件としているので、気を付けなければいけません。
一方、教育支援資金はお近くの市区町村社会福祉協議会から申し込むことができます。
それぞれ提出後、所定の審査が行われ、それをクリアできれば借入が可能となります。
少々、条件や手順が複雑ですがこの制度が利用できる方にとってはまさに救いの手そのものになるはずです。
他のローンでこの金利以下の借り入れはまず不可能なので、条件に一致する方はぜひ検討してみてください。
現在の借入状況から、借り換えによって最大いくらお得になるかを計算してみましょう。
※計算結果はあくまで目安です。計算は現在の借入残高で各商品の最低金利を適用した場合の年間の利息額から算出しています。